● 2003/11 ジグは一瞬のフォールでバイトさせる ●

そろそろタチウオを狙うオフショア船が、水深のあるエリアでは夜の出船を開始する。船が明かりで海面を照らし、タチウオの群れがそれに集まってくる。この時期こそが、陸っぱりアングラーのタチウオフィーバーが始まる時でもあるのだ。

 ライトというよりも、タックル的にはちょっとだけヘビーと言えるかもしれない。タチウオをメタルジグで釣るならば、それなりにしっかりしたタックルで狙ってみたい。時には岸からでも20〜30mのレンジを狙うことにもなるので、本格的に遠投できた方が有利だ。それに40gほどのジグでも激しく操作できた方が、それだけルアー操作の幅も広がってくれる。

 今回のお話は、今までにも話したことのあるジグの誘い方だ。アシストフックが全盛ともいえる昨今だけど、通常のテールフックだけで、十分に釣果を出すことができる。つまりメタルジグの姿勢によって、小さなアタリでもフッキングへ持ち込みやすいジグのアクションだ。

 細いワイヤーリーダーだと切られてしまうほどタチウオの歯は鋭いけれど、リーダーへ触れさせないようにしてやることで、ラインブレイクの確率は低くなる。そうなることは、結果としてタチウオのフッキング率アップと、バラシにくいフッキングを可能にすることになる。

 ボクは沼津や西伊豆などでタチウオを好んで釣るけれど、その理由は食べて美味しいから。多くのルアーアングラーも、それが目的で狙っている人がほとんどじゃないかな。タチウオの塩焼きって、ボクは大好物なんだよね。

 沼津方面でタチウオの夜釣りの船が出船を始めると、日によってエリアが異なるけどタチウオは群れで接岸を始める。このタイミングこそが、陸っぱりからルアーで最も釣りやすくなる季節だ。それ以外にも、真冬の西伊豆ではベイトフィッシュの接岸によって、港を埋め尽くすほどの群れに遭遇するチャンスもある。

 港内にまで入り込んでくれれば手軽に釣れるけど、前者の場合には常夜灯のないようなエリアだと、ちょっとばかり遠投と深いレンジ攻略が重要になる。そこで一般的に使われているのが、28gや40gといった、陸っぱりとしてはちょっと重めのメタルジグだ。

 このメタルジグをより効果的に操って、よりフッキングさせやすいバイトを得ることが、タチウオを人より多くキャッチするためのテクニックとなる。そのひとつの方法が、ここで紹介している、一瞬のフォールでバイトさせる誘い方だ。


水深のある場所を探そう

 この時期に狙えるタチウオ釣りのキモは、より周囲よりも水深のあるポイントを探すことだ。あまり狙われてないポイントでも、ベイトフィッシュの接岸状況によっては、驚くほどの爆釣を体験することもある。常夜灯のある場所では、タチウオが水面まで飛び出してルアーを追うこともある。しかしそういった見えている場所は、いつも常連さんでいっぱいのはず。

 そんな時は目先を変えて、できるだけ水深のある堤防を探してみたい。常夜灯がなくても、沖にタチウオ狙いの船が海面を照らしていれば、その近くの堤防だって十分なポイントになり得るんだ。普段は誰もいない堤防だとしても、水深のある場所では沖からの群れが入り込んできやすい環境であると言えるからだ。


サーフでも狙える

 最近では、サーフのタチウオポイントも注目され始めている。沖で明かりを照らしている船も、サーフの岸からかなり近いエリアでタチウオを狙っていることがある。こんな時にはタチウオの群れもサーフに寄って、ルアーで岸から狙えるチャンスだ。

 沼津の片浜海岸などでは、岸近くからかなりの水深がある。こういった場所では、更にタチウオが釣れる確率は高くなっていると言っていいだろう。同様に磯などにも似たようなシチュエーションが存在すれば、釣り場は更に広がってくれる。


バットのしっかりしたティップアクション

 激しいジャーク後のフォールでアタリを感じ取りたいので、繊細なティップが重要だ。一瞬のモタレやかすかなアタリを感じ取りたいのは、オフショアからのタチウオジギングと同じだ。誘い上げる時にジグをアピールさせて、フォールのアタリでフッキングに持ち込むのだ。

 だからこそ小さなアタリを感じ取れる繊細なティップが必要であり、更に確実にフッキングさせるためのしっかりしたバットのパワーが重要なのだ。当然40gまでのジグをキャストできることも重要になる。細いPEラインを使うことで、よりアタリを感じ取りやすいはずだ。リーダーはわずかなキズでは切れないよう、ナイロンよりもフロロ素材をオススメする。


プライヤは必需品

 当然のことながら、タチウオの歯は恐ろしいほどに鋭い。こんな魚のフックを素手で外そうなんて考えたら、とても恐ろしい結果になる。自分の手を血まみれにしたくなかったら、絶対にプライヤを使ってフックを外そう。経験のある人なら分かるだろうけど、タチウオの歯は触れただけでも出血する。それほどまでに鋭いのだ。ソルトの釣りで手にキズができると、塩分のせいでかなり沁みて痛いんだよねぇ。


ジャークで見せてフォールでバイトさせる

 今回のお題で一番重要なのが、このカコミの内容だ。とにかくメタルジグの釣りで重要なのは、いかにしてジグの存在をアピールさせるかだ。そしてより魅力的に見えるように動かすこと、更に確実にフッキングへ持ち込める場所へバイトさせること。

 具体的には伸びの少ないPEラインを使うことにより、ロッドでジャークさせるストロークの確保が重要だ。激しく鋭くジャークさせながらも、この時点ではあまり移動しないように考慮するのだ。そして最後のジャーク直後に一瞬のステイをさせる。このときジグは水平になるように、止めすぎないことが大切だ。

 この水平になった時こそが、タチウオを最も確率良くフッキングさせやすい角度だと思う。立ち泳ぎで反応していて、一瞬横を向いた時にバイトする。このタイミングがうまくとれると、面白いようにテールフックが口の中へフッキングしてくれる。ステイで頭を下げすぎると、ラインを切られるので要注意だ。

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