● 2003/02 水面でミノーをチョコマカ動かす ●

冬の間に活動が活発になるヤマトカマスは、冬の伊豆半島でルアーフィッシングの人気者だ。マヅメの明るい時間帯に、ボトムに潜んでいるヤツを、チョコマカトゥイッチングで浮かせてヒットさせたい。

 ルアーフィッシングの対象となるカマスには、2種類が一般的に知られている。最も美味しいとされているのがアカカマスで、これは俗にアブラカマスとも呼ばれている。もう1種類は、ヤマトカマスと呼ばれており、こちらはミズカマスと呼ばれている。

 名前からも想像できるように、アブラカマスの方は、食味もなかなかのものだ。それに対してヤマトカマスは、ちょっとばかり小ぶりが多くて味が落ちるというのが一般的なアングラーの見解のようだ。そういった理由から、夏から秋のアカカマスに比べると、真冬に釣れるヤマトカマスを専門に狙う人は少ない。

 ところがルアーアングラーにとっては、そんなことはあんまり気にならない。むしろ派手な演出を見せてくれるヤマトカマスの方がお気に入りというアングラーも多い。

 ルアーアングラーを興奮させるカマスとはイメージできるか分からないが、とにかくルアーに反応してイルカのジャンプみたいな芸当?を見せてくれることがある。しかも夜ではなく、明るい時間帯に見ることができるので、これを体験したことのあるアングラーならはまってしまうのだ。

 西伊豆がボクの好きなフィールドだけど、船が係留してある岸壁周辺では、昼間はボトムにじっとしている。潮が澄んでいると海底の状況は分かるけど、カマスがいるレンジへルアーをプレゼンテーションしてみても、ルアーへの反応はいまいち良くないはずだ。

 そんなときにボトムへこだわらずに、逆に水面でチョコマカとルアーを動かして、その波紋でヤマトカマスを誘い上げるのが面白い。ルアーの波紋に気づいたカマスは、徐々に群れで浮き上がりながら、時折ルアーにチェイスしつつ、群れ全体が浮上してくる。

 こうなってくるとなかなか海底には戻らず、いつまでも水面のルアーをめがけてチェイスを繰り返してくれる。このヤマトカマス独特の習性を利用して、アカカマスには無い楽しみ方ができるのだ。

 カマスはベイトフィッシュがいなければ釣れないと思っているようなら、一種のリアクションバイトを楽しめるヤマトカマスを、是非ともこの冬に体験してみてもらいたい。


係留してある船の間

 伊豆半島を始めとするような漁港では、港内の岸壁に釣船などが係留してある。船の陰や海中へ伸びているロープなど、そういったストラクチャーの下に、ヤマトカマスは潜んでいる。日中のほとんどを深場ではなくそういった場所で過ごしていて、マヅメ時には自ら浮上して、ベイトフィッシュがいればそれを追って捕食している。

 こういった場所で注意したいのは、無理なキャストをして船やロープにルアーを引っ掛けたりしないことだ。ヤマトカマスはそれほど遠くを狙ったりストラクチャーへタイトなキャストをしなくてもいい。十分に離れた場所で動いているルアーに対して、しっかりと反応してくれるからだ。ストラクチャーから引きずり出すのが、ここでの正攻法だ。


岸壁沿いも狙える

 ストラクチャーは、必ずしも岸から離れた場所だけではない。自分が立っている岸壁も、ヤマトカマスが回遊するためのストラクチャーとなっている。点在しているストラクチャーとは異なり、岸壁沿いに回遊するカマスは狙いやすい。

 岸壁沿いの攻略テクニックとしては、単純に岸と平行にキャストするだけではなく、少し沖からルアーを引いて寄せるようにしてもいい。沖から近づいてきたベイトフィッシュを演出するため、離れた場所から寄せながらアクションを加えてみよう。


ティップが柔らかい胴調子のロッド?!

 本文やカコミでも触れているが、明るい時間帯のヤマトカマス攻略には、水面でマイクロフローティングミノーをチョコマカとトゥイッチさせながら、波紋を連続的に出して演出するのが効果的なテクニックだ。つまりショートストロークで操作できるロッドが、このテクニックを助けてくれる。

 それにはマイクロミノーのわずかな抵抗でも曲がってくれるロッドティップと、ある程度曲がったら胴で吸収してくれるスムーズなベンディングのロッドが欲しくなってくる。つまりティップが柔らかいながらも、胴までスムーズにベンディングしてくれるロッドこそが、こういったルアーのチョコマカトゥイッチには向いているのである。


チョコマカロッドアクション

 チョコマカトゥイッチという呼び名は、他の場所でも聞いたことがあると思う。とても単純なルアーの操作であり、ロッドを小刻みに震わせることによって、フローティングミノーをその場で波紋を出す程度に動かす。

 移動させることを目的としないので、ルアーの横方向への移動距離は最小限になるように操作したい。その波紋により、底の方に潜んでいるカマスを浮かせてヒットさせるのだ。


持ち込ませてからフッキング

 チョコマカトゥイッチをやっていて最も難しいのは、いかにして水面へ飛び出したカマスをフッキングさせるかだ。ロッドを震わせて波紋を出し、ラインが弛んだらその分だけをリールで巻き取る。リールによる巻きアワセもできないし、もちろん震わせながら突然飛び出してきたカマスに対して、瞬時にアワセの動作へと切り替えるのは難しい。慌ててロッドをあおったとしても、ルアーだけが飛んでくる可能性が高い。

 この状況でのフッキングテクニックとしては、とにかく落ち着いたアワセを心掛けよう。軽いミノーほど下からの突き上げで弾き飛ばされやすいので、確実にカマスがルアーを持ち込むのを待ちたい。飛び出して戻るときにルアーを咥えるケースが多いようなので、飛び出した瞬間のアワセだと空振りかスレ掛かりになりやすい。持ち込んでから、ゆっくりとアワセるのが正解だ。

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