● 2008/03 カケ上がりのカサゴ ●

 先月はあっちのエリアを探り、その前はこっちのエリアで楽しめた。そして今月は・・・。ちょっと戻った最近釣りをやってないエリアに足を向けてみることにした。

 夕マヅメが近くなり、どこの漁港へ入ろうか考えていた末、そのエリアの中でも過去に実績のある場所を探ってみることにした。昔は良かったけれど・・・、という場所は、マレに忘れた頃の爆釣がある。それを夢見て、何となく予感めいたものを感じていた。

 釣り場について、タックルをセット。ロッドはいつものLT-590H/Sのソフトティップで、リールにはOMライトゲームの3ポンドを巻いてある。カケ上がりの上をリーリングする繊細な釣りをするつもりだったので、これくらいがボクにとってはベストバランスだ。

 水深の浅い場所が多いので、ジグヘッドは0.9gをチョイスした。通常の縦の釣りであれば、いつもはシラスヘッドを使う。しかしカケ上がりでのアピールを意識するとなれば、左右に動かさないとエッジに擦れてしまう。だからシラスヘッドファインを使うことにした。

 このジグヘッドは、独特のヘッド形状で水を受けるため、軽くトゥイッチすれば左右にダートしてくれるのが特徴だ。少し浮き上がり気味に動いてくれるので、ちょうどカケ上がりを乗り越えるようなベイトの動きを模してくれるのだ。

 準備ができたら、釣り場までテクテクと歩いていく。ボクのお手軽な釣りとしては、ちょっとばかり歩く距離は長い。これもカサゴくんに出会うため、仕方のないことだ。

 ようやく目的の場所に到着すると、潮位は満足するほどあり、カケ上がりで1mちょっとだ。宵の口に捕食を目的で浅場へ接岸しているから、絶対的に勝負が早い。それだけに最初のキャストは慎重にならざるを得ず、久し振りの場所でもあるのでちょっとだけ緊張する。

 まずは呼吸を整えて、足元の護岸へ「スルスルッ!」とジグヘッドリグを沈めてみる。すると思ったより速くラインが出ていったので、ベールアームを急いで戻すといきなりのフッキングだ。慌てて腕を突き出して、ヘチにカサゴが潜るのを避けるようにした。

 この釣り場で久し振りにヒットしたカサゴは、20cm級のまずまずサイズだ。赤味を帯びているので、徐々に接岸してきている個体なのだろう。ということは、忘れ去られていたこの釣り場も、いつの間にか復活していたってことか。嬉しいじゃないですか〜。

 その後も同じようにヘチを探り歩くと、そのたびに同じようなサイズがヒットしてくる。何尾のカサゴをキャッチ&リリースしたころだろうか。目の前でギラギラと光る魚の群れが、移動しながら海面でライズを始めた。

 そのままのタックルでキャストすると、今度は20〜23cm級のマアジが入れ喰いだ。何とまあ、これはこれで嬉しいサプライズだ。この繊細なタックルで楽しんでいると、何でも釣れちゃうような錯覚に陥ってしまう魅力がある。

 マアジのお土産分だけをキャッチしてひと段落したところで、再びヘチのカサゴ釣りに戻ってみた。ところがそれまで釣れ盛ったカサゴが、まったく何の反応もなくなってしまった。掛かってくるのは、ちょっと小振りのメバルばかり。

 そこでようやく本命に考えていたカケ上がりを、リーリングで狙ってみることにした。カケ上がりにヘチへ寄ってくる予備軍の存在を確認することができれば、今日の目的は達したようなものだ。

 先ほどまでアジを探っていたのと同じあたりにキャストして、カケ上がりの向こう側へ沈める。リーリングでカケ上がりの上を舐めるくらいまでを目安にカウントダウンしてから、軽くトゥイッチでアピールさせてからリーリングを開始した。

 カケ上がりを通過する瞬間に改めてトゥイッチし、リールを続けて巻いた。するとロッドティップを抑えこむようなアタリがきて、そのままロッドを立ててリーリングを続けるとフッキングだ。あっさりと良型のカサゴがヒットした。

 同じようなパターンで他の位置もトレースしてみると、面白いようにヒットしてくる。いわゆるオチビちゃんサイズはまったく掛かってこないで、みんな20cm以上でファイトも楽しめる。丸々と太っていて、引きも通常よりは強く感じた。

 ここであまりプレッシャーをかけないためにも(手遅れかも・・・)、目的を達したので釣りを終わることにした。忘れられたような釣り場は、いつしか元の状態に戻っている。この自然の力を失わせないように、釣り場も維持できればいいな。


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