● 2006/11 手つかずゴロタのムラソイ ●

 外海に面した海は、ちょっとした低気圧の通過でも波やウネリの影響を受ける。今シーズンは天候不順が続いていたから、ゴロタ磯はいつも波が被っていた。とてもムラソイを狙うために、その中へ入っていく気にはなれない。

 自分がイヤってことは、他のアングラーも近寄りたくないはず。お手軽な釣りだから、危ないことはやりたくないはずだよね。波を被ったり、風にあおられたりしてまで頑張る必要はない。

 今回の釣行場所は、そんな外海に面したゴロタ海岸だ。このエリアは延々と続く岩場で、たまに穏やかなときを狙えれば面白い釣りができる。天気予報では雨のはずだったけれど、前夜あたりから回復してきたようだった。

 海岸線の道路を走りながら、波の当たり方の小さなエリアを眼下に見つけた。うまいぐあいに駐車スペースもあり、安心して釣りができそうだ。車を停めて、さっそくタックルを準備した。

 オリジナルのLT-590H/Sに、ラインはスムーズのエギング0.6号、そして12ポンドのエギングリーダーを結んだ。リーダーの先にはエコギアのジグヘッド、そしてパラマックス3インチをセットした。ときには2インチまでサイズダウンすることもあるけれど、今回は極小ムラソイは必要ない。

 さて、準備ができて降りようとしたけれど、ボサが生い茂っていて降りる場所が見つからない。ちょっと離れたところまで歩いていったら、ボサの向こう側に平らな足場が見えた。そこから斜面を降りていくことができそうだ。

 慎重にガケを降りていくと、真下には大きな石が点在している。波打ち際も小型の石は少なく、岩盤と違っていかにも釣れそうな雰囲気が伝わってくる。石が大きいので、アップダウンが激しい。海に近づくまでは、ちょっとばかり疲れる。

 無事に水がある場所まで到着して、まずはちょっと高い場所から波の具合をチェックする。この釣り場では、キレイに3つのパターンでポイントが形成されている。潮位が下がっていたので、これがハッキリと分かるようになっていた。

 手前には波のあまり動かない、大きな石の下を探るエリア、そして沖からの潮がぶつけている石と石の重なったエリア。普通はこの2パターンだけど、潮位が低いことにより、その先にはカケ上がりが波間に見え隠れしていた。

 まずは手前の静かなエリアを探ってみた。しかしまったく反応はない。おそらく潮が下げていくので、ムラソイも徐々に沖へ移動していったのだろう。次は石と石の重なっているエリアだ。しかしここでは10cm程度の小型が飛び出してくるだけで、3インチのパラマックスでは大きすぎるほど。

 そこで波に注意しながら、カケ上がりと石が重なっているエリアを探ってみることにした。完全なカケ上がりエリアは、見事なまでに海藻が生い茂っている。そのため狙うことが難しい。しかし所々に大きめの石が並んでいて、その向こう側がエグレになっている極上のポイントがいくつも並んでいた。

 まずは石と石の並んだ部分にできている隙間にそっと沈めてみることにした。しかし引き波に邪魔されてしまい、うまく奥まで入っていかない。案の定、ムラソイが飛び出し掛かって戻っていく姿が見えた。

 ムラソイがいることは確認できたので、寄せ波を利用してみることにした。寄せ波のタイミングを見計らって、流し込むように奥へジグヘッドリグを送り込めた。

 すると一気にロッドティップが絞り込まれ、引きずり出すとロッドが動かなくなった。ムラソイは間違いなく掛かっている。よく見ると、リーダーが石の表面にいる貝と石の間に挟まっている。頑固にリーダーを挟み込んでいるので、まったく動いてくれない。

 近づいていって貝を剥がすようにしながら、リーダーを引っ張ってみた。すると思惑通り外れてくれ、無事に20cmほどのムラソイをキャッチすることができた。ムラソイのサイズも、これくらいであれば申し分はない。

 それからは同じようなパターンで、沖からの寄せ波を利用して満足のできる結果を続けて出すことができた。試しに手前から払い出しの波を利用して流し込んでみたけれど、そのコースではまったく反応してくれない。

 手つかずに近い場所といえども、やっぱり沖からくるエサを捕食するつもりでいたのだろう。ムラソイにしても、納得できる状態でエサを食べたかったのではないだろうか。自然を相手にするのは面白い。


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