「遠投エギングでフィールドを広げよう」

24時間いつでも誰かが・・・

 ここ数年の間、あることを提案し続けている。それはエギングフィールドの展開についてだ。近年のエギング人気によって、フィールド事情としてはアングラーを受け入れるだけのキャパがオーバーという状況になっている。自分がやりたいと思っていたポイントには、いつも誰かが先に釣りをしている・・・、そんな状況に出会った経験のある人は多いと思う。ボクがエギングを始めた頃には、釣れることすら信じられないことが多かった。だから釣り場に困るなんてことは、皆無といってもいいくらいだった。

 ところが今は違う。昼間のエギング人気によって、どこの港もエギングアングラーでいっぱいだ。しかも人気ポイントでは24時間いつでも誰かがエギをキャストしている。昼間も夜も関係ない。昼間の人気がすごくて場所を確保できなかったアングラーは、徐々に再びナイトエギングに戻りつつあるからだ。当然そこにいるアオリイカたちも、警戒心は強くなってきている。みんなで同じような釣り方をしているから、最近ではスローな動きに反応しているアオリイカも多くなっている。釣りにくくしてしまっているから、そういった釣り方の変化も必要になってきているのは事実だ。

攻めてないポイントを攻略

 しかし深場に移動していったアオリイカはどうだろう。船でやっても手漕ぎボートでやっても、現状の陸っぱりほどは苦労しないでアオリイカをキャッチできるようになっている。記憶に新しいと思うが、昨シーズンは船からのシャクリで異常とも思えるほどの釣れっぷりを見せてくれた。2ケタ釣果が当たり前のような状況であったが、陸っぱりでは苦しいゲーム展開を強いられた人が多かったのではないだろうか。水温の関係があったのかもしれないが、少なくともやる気のあるアオリイカは、岸寄りに少なかったという解釈も成り立つのではないかと思う。実際に岸からちょっと飛距離の足りないエリアをボートで試したとき、ボートはどんどん釣れても、岸からはまったく釣れてないこともあった。

 これが100%の実態なのかと問われると、必ずしもそれが全てではないだろう。しかし以前から広範囲を攻めているアングラーは、他の人が釣れないと嘆いているシーズンでも、ごく当たり前のように良型のアオリイカを確実にキャッチしてくる。釣れている人と釣れない人との差を見ると、明らかに飛距離によるものだと分かった。遠投することによって、他の人が届かず攻めてないポイントを攻略できたことが、その理由のほとんどだったと考えられる。


遠投専用エギングロッド

 この飛距離には、もうひとつの展開が含まれていた。それはサーフや磯からのポイント攻略だ。従来のビシバシとエギを操作するロッドはショートロッドが多い。つまりエギを激しく動かすことに設計を重視したコンセプトなので、遠投することは絶対条件には含まれにくい要素となってしまっている。遠投できないロッドではなく、遠投を意識した設計ではないロッドという意味だ。裏を返せば遠投を目的としたエギングロッドは、市場には出回ってないといえる。あったとしてもそれはシリーズバリエーションの中のひとつであって、どこまでユーザーの心理に訴えることができていたかは疑問だ。

 現在ボクは、これらを意識した遠投専用エギングロッドの開発を進めている。近いポイントよりも乗せやすいアオリイカを狙うことで、他の人が狙ってないエリアまで射程距離に入れて釣ろうと考えている。現実に遠投することで釣果を多くあげている人が多い。飛距離が全てではないのだろうけど、ポイントに届かなければ釣果は期待できない。スレてないアオリイカは、大きなエギでも問題なく抱きついてくる。遠投との組み合わせは問題がないのである。釣れなくなったと嘆くアングラーも多いけれど、まだまだやれることをやってないとボクは思っている。今までと同じ釣り方で釣れなければやらないという考えもあるだろうが、「釣りたい!」という気持ちの強いアングラーは、今シーズンから遠投エギングにチャレンジしてみたらどうかと思う。